アレルギーの病気シリーズ

気管支喘息


気管支喘息
1.気管支喘息とは

 喘息は、主として白血球の中の好酸球(アレルギー関連の白血球)が関係した慢性の気管支の炎症で起きます。症状は、喘鳴(呼吸が苦しくゼイゼイする)、息切れ、発作性の咳・痰ですが、重要なことは、アレルゲン、刺激物、運動、ウイルス感染(風邪など)の原因によって、しばしば引き起こされる反復性の発作があるかどうかです。特に、特徴的なことは、夜間や早朝に症状が強いことです。喘息の重症度が中等度以下の場合、日中は比較的元気で、本人が喘息患者である意識や自分の病気の重症さを充分自覚していないことも多いようです。思い当たる方は、呼吸器の専門医との相談をおすすめします。診察時に症状があり、胸部聴診でWheeze(ゼイゼイする音)が聴かれれば診断可能です。しかし、好酸球性の炎症としての特徴で、症状が可逆性(自然の元に戻る)であるため、医師側で喘息を理解した病歴の聴取がなされないと[風邪でしょう。]とか[異常なし。]とされる場合もあるのでご注意ください。喘息と疑われたら、血液検査(Ⅰ型アレルギー抗体、IgEを含む)、気道過敏性や可逆性試験を行い、診断します。

2.気管支喘息と診断されたら

 喘息のコントロール目標
 ・症状をコントロールし、状態を維持する。
 ・喘息の増悪を予防する。
 ・呼吸機能をできるだけ正常に近いレベルでコントロールする
 ・運動など、正常な活動レベルを維持する。
 ・不可逆的な気道閉塞が生じないようにする。
 ・喘息による突然死を防ぐ。
以上の目的を達成するには、医師と患者さんの協力が不可欠です。

3.患者さん自身や家庭での管理

 呼吸状態を数量的に判断するためには、ピークフローメーターでピークフロー(PEF)を測定する。PEF値は、喘息の増悪度のモニターになります。1日2回も測定(起床直後とその10~12時間後)で日内変動がわかると同時に、その日の喘息の状態が自己判断できます。[医療機関に受診すべきか、自宅での服薬、吸入療法でコントロール可能か。」など。
 またPEFは、成人から5歳程度の幼児まで行うことが可能です。そして、その結果を記載する喘息日誌あるいはピークフロー日誌をつけましょう。

4.喘息の薬物療法

 薬物療法は喘息の重症度によって、ステップ1から4までの段階的に行われます。使用する薬剤は、短時間作用型β2刺激物、抗炎症薬(吸入あるいは経口コルチコステロイド)、徐放性テオフィリンおよび経口β2刺激薬などを喘息の程度により、また患者さん個々により異なります。効果があればどのステップでもステップ・ダウンして薬剤を変更します。
 現在、欧米および日本でも、中等度以上の患者さんでもっとも有効で、かつ安全性の高い治療は、吸入ステロイドホルモン療法です。ステロイド恐怖症にならず専門医師と相談しましょう。