呼吸器の病気シリーズ

喫煙と呼吸器疾患について

 喫煙習慣は、すべての呼吸器の病気に対してよい影響はありませんが、特に因果関係のあるものは、慢性閉塞性肺疾患と肺癌です。タバコをすうと肺癌になりやすいことは皆さんよくご存知のことと思います。しかし、慢性閉塞性肺疾患とは何?と思われる方も多いと思います。慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎・肺気腫・気管支喘息を含みますが、気管支喘息をのぞく慢性気管支炎・肺気腫のいずれも喫煙習慣と密接な関係にあります。

肺気腫
 肺気腫は、肺胞が破壊され肺の弾力性の低下した状態です。呼吸機能低下が特徴で、胸部レントゲンや呼吸機能検査で診断されます。症状としては、体を動かしたときの呼吸困難(息切れ)が特徴です。進行すると、肺でのガス交換が充分に行われず、酸素療法しか充分な治療がありません。

慢性気管支炎
 慢性気管支炎の特徴は、冬期の慢性の咳と痰が特徴です。
慢性の炎症に加えて、肺の混合感染(かぜなどを引きやすい)を起こしやすい。

肺癌
 肺癌の種類は多様で、頻度の高いもので4種類あります。中心型(扁平上皮癌、小細胞癌)と抹消型(線癌、大細胞癌)に大きく分けられ、特に、中心型肺癌が喫煙と関連が深いです。中心型肺癌は、太い気管支の内側にできるため胸部レントゲンのみの検査では診断されにくい場合があります。痰の中のがん細胞を検査する方法を併用します。

これらの病気になりやすい外的因子として、喫煙が最も重要です。

喫煙指数(1日本数×喫煙年数)が400以上になると発病率が増加しますので、定期的な検査が必要です。